ーあらすじ
ある日、音楽家の川﨑夢は鏡の中に自分ではない"ひとりの女性"が映ってることに気づく。
その女性は、幼い頃の劣悪な家庭環境で、成長しても自分の顔にも価値にも自信が持てず、世界から置き去りにされたように生きていた。
鏡越しでしかその人生を見守るしかない夢は、次第にその彼女の痛みと、自分自身の心が深くつながっていくのを感じる。
触れられない二つの魂が、鏡を挟んで交差する。
鏡に映るのは幻想か、現実か。
音楽でしか表現できなかった女が、彼女の存在で再び動き出す。
これは、比較と劣等に縛られた女と、才能と死に縛られた女の物語。